昨今、情報化施工と言う言葉をよく耳にします。

国交省の説明では、以下の2点の内容を総称して情報化施工と言っているようです。

(以下の絵は 国土交通省 国土技術政策総合研究所 高度情報化研究センター情報基盤研究室のもの)

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1.地理空間情報の高度利用

PIC0062N.JPG


2.TSを使った出来形管理

さて、1についてはGPSや衛星写真などを用いるということなので、整備されてきたインフラの高度利用ということで大変に良く理解できますが、問題は2のTS出来形についてです。果たしてどうなんでしょうか。 たしかに優れた取り組みだと思いますが、現実的に地場中小零細企業に及んでの普遍的な管理方法になるのかというと、どうも首を傾げざるを得ないのです。


私が考える問題点としては、

◎従来の出来形管理も必要で2重管理となるのでは?

◎ハード・ソフト・人件費などを考えると大きなコストがかかるけど利益は出せるの?


◎代理人だけで対応するのは極めて難しく、結局はメーカー技術者のフォローが必須となるので、受注者のノウハウにならないんじゃないの?

◎集めたデータの利活用方法もまだ決まっておらず、現状では発注者にとってもメリットが明確ではないような・・

ちょっと考えただけでもすぐにこのような問題点が出てきます。
 

5億10億の工事ならともかく、1億程度の工事で適用させるのはなかなか困難と言えるのではないでしょうか。また、TSを測量時と出来形測定だけに使うのであれば、「情報化施工」というのはいささか大袈裟なようにも思えます。


TSで計測された数値が正しいものかどうか、従来の方法でも計測するのであればあまり意味があることとは思えませんが、それでもこれから導入は進んでいくのでしょうか。
受注業者が発注者への自社イメージアップのためだけに利用するのであれば、情報化施工の本質を見失っているとしか思えません。

電子納品もそうなんですが、得られた情報(データ)を利活用する仕組みづくりをおざなりにしたままでは、結局は紙至上主義からの転換は難しいでしょうね。今のままでは何をやっても定着はしないと私は思いますが、果たして・・。
 

現状のメリットとしては

1.先進的な取り組みをする業者としてのイメージアップ
 

2.体力に余裕がある企業として社会的な信頼感の醸成


3.土木技術者は凄いんだ!という社会に対するアピール


4.関連装置産業、ソフト産業のビジネスチャンスの提供


こんなところかなと思います。
(実は4がメインなんじゃないかと・・・建設会社は一体いつまで搾取されるのだろう・・・)

ということで、疑問に思いながらも情報化施工についても必死に勉強中の私なのでありました。