9/1に「北海道農業農村整備事業 電子納品運用の手引き(案)【工事編】 平成 20年8月」が発表されました。
適用開始はH21年4月以降の工事からとされています。

手引き(案)は以下のページからダウンロードできます。

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ns/jcs/nn-koji/sekkei-hp/e-nouhin.htm

早速、内容について軽くチェックしてみましたが、色々とおかしいと思われるところがあります。
どうやらNNCALSの「工事完成図書の電子納品要領(案)平成17年4月」「電子納品運用ガイドライン(案) 【工事編】平成19年2月」と、北海道建設部の「情報共有・電子納品運用ガイドライン【工事編】平成20年4月」を合体させたもののように思われます。

以下、気になるところを示します。

1.PHOTO03.DTDを利用しなくてはならない

道建設部のガイドラインでは、DTDのバージョンまでは指定していませんが、こちらでは“PHOTO03.DTD”の指定があります。PHOTO03.DTD”といえば、H16/6の基準ですから、来年からの適用にしては少し古すぎるように思います。
なんせ国交省では来年1月からは“PHOTO05.DTD”に変わりますからね。せめて“PHOTO04.0DTD”でスタートして欲しかった。
なぜわざわざ古い“PHOTO03.DTD”を利用するのかといえば、NNCALS側のガイドライン(案)が今も“03”と記述されているからでしょう。恐らくこれを書かれた方はその点を検証せずに丸写ししたのだと思われます。

2.代表写真=提出頻度になっている

国交省の要領(案)では、代表写真の定義を「写真管理基準(案)の撮影箇所一覧表に示される撮影頻度以外(提出頻度)の写真の中から当該工事の概要が把握できる、または重要な写真であるもの」と定められています。
ところが、この手引き(案)では、代表写真=提出頻度となっています。(ちなみに道建設部でも同様の解釈となっている)とするならば、そもそも代表写真フラグは不要です。わざわざ代表写真に設定しておく意味が無いでしょう。

3.アルバム(写真帳)の格納方法

道の建設部と同じルールが設定されています。つまり、アルバムをすべてPDFで出力を行い、それをその他資料(OTHRSフォルダ)へ格納しなくてはならないというもの。また、OTHRSフォルダ内のサブフォルダ名は、「ORG001」と決められています。その上で、ファイル命名規則は、“ALUBUMnnn.PDF”としなくてはなりません。
このPDFを納品すれば紙は不要というわけではなく、紙とPDFの両方を納品しなくてはなりませんから、ある意味3重納品(電子データ、PDF、紙)と言えるでしょう。しかも、この命名規則に沿って納品されているかどうかをチェックするシステムが存在しません。その他、工事完成図書の電子納品要領(案) (H17.04) のXML作成例では、ORG001には「○○システム入力データ」と記述されており、本手引書と食い違いが生じていることも知っておく必要があるでしょう。

とりあえず以上について私は気になりました。恐らく実際の運用時には臨機応変な対応が必要になるでしょう。

それにしても、この縦割り行政はなんとかならないものでしょうか?CALSの本質は、セクションに関係なく、データを利用したい時に利活用出来るところにあるはずです。
例えば、激甚災害が有ったとしましょう。政府の対策本部が、壊れた道路、橋、トンネルの設計図書を参照したい場合に、一々各機関の出先事務所に確認させるのはナンセンスだと思いませんか?
ポータルから検索すれば、発注機関に関わらずたちどころに図面や写真が取り出せて、更には利用するCADに関わらずにすぐに図面も開けるようにするのが最終的な目的のはず・・それが本当のCALSだと自分は思うのですが・・