クライマーズ・ハイは、横山秀夫の作品で、1985年8月12日に群馬県の御巣鷹山に墜落し、乗員乗客512人が亡くなった日航機墜落事故を取材する地元新聞社の記者の、様々な心の葛藤などを描いた小説である。

2005年にはNHKのドラマ(主演は佐藤浩一)にもなっていたが、今年は新たに堤真一が主演となって映画化された。


事故当時、自分は18歳の若者であったが、その3日前に羽田→千歳の便に乗っており、運が悪ければ犠牲者と同じ境遇になったのかと、とてもいたたまれない気持ちになったのを今でも昨日のことのように思い出す。
 

このドラマでは、事故原因の大スクープを巡っての葛藤、子育ての葛藤、事故で家族を亡くした遺族の手記を掲載についての葛藤と、様々な壁にぶつかる主人公が、序々にクライマーズ・ハイの状態になっていく過程が描かれている。
 

クライマーズ・ハイとは、登山時に興奮状態が極限まで達した際に、恐怖感などが麻痺してしまう状態のこと。これは別に登山者だけに限らず、実はてんぱった時には人間誰もが脳内にエンドルフィンが分泌され、気分が高揚するのだそうだ。いわゆる脳内麻薬が出ている状態をこう呼ぶのであろう。
 

ま、その事は置いておいて、2度とこのような大惨事が起きないように航空各社は運航の安全管理を怠らないで欲しいものだ。特に日本航空は戒めとして、山崎豊子の沈まぬ太陽のドラマ化に協力してはどうだろう。イメージダウンよりは、むしろ事故に向き合う姿勢が評価されてイメージアップに繋がると思うのだが。
 

各種の偽装事件、公務員の不祥事等がマスコミに叩かれる理由は共通している。すべてが隠蔽工作をするからなのだ。潔く事実を公表し、きちんと謝罪し、責任を取るという当たり前のことが出来ていないためだ。

日本航空は企業体質等の問題が有ったにせよ、誰も落とそうとして飛行機は飛ばしているはずは無いと信じる。予期出来たかどうかは別として、直接の原因はボーイング社の修理ミスが原因だったのであるから、広義で捉えるのであれば、当時のJALもまた被害者の一員であるのも否定は出来ない。
(一部では再調査を望む声もあるらしいが・・)
 

ということから、沈まぬ太陽のドラマ化は、日本航空の贖罪となることは間違いない。ぜひドラマ化を、それが無理であれば映画化を図って欲しいと思わずにはいられないのである。
 

JAL123便が墜落してから来月で23年目を迎える。2度とあのような大惨事が起きないことを心より望む。