義父が末期のすい臓癌で、余命を全うすべく自宅療養の日々を送っていたのですが、一昨日の日曜日に強制的に入院させました。理由は疼痛抑制剤のオキシコンチン錠による錯乱です。
このオキシコンチン錠は、あのモルヒネよりも4倍効くといわれているアルカロイド系の鎮痛剤（オキシコドン）で、末期の癌患者が救いようの無い痛みにより弱っていくのを防止し、人間らしく最後を向かえることが出来るための薬と言っていいでしょう。
7月中旬からこの薬を医者に処方してもらい、抗癌剤であるジェムザールの投与とは別に、毎日服用していたわけですが、飲み始めて30日ほどたった8月中旬から、義父に異変が出てきたのです。
●幻覚
・誰もいないのに、｢部屋の隅に座っている奴は誰だ？｣などと突然言い出す。
・｢知らない人が来て部屋のタンスに入っていったぞ｣と叫ぶ。
・｢仏壇の前にいつも知らない人が２人いて怖い｣という。
●幻聴
・突然一人でしゃべりだす。まるで相手がいるかのようにしゃべる。
●混乱
・｢お客さんに書類を届けなければならない！｣として家中の引き出しをあけてあるはずの無い書類を探す。
・｢今から誰かが迎えにくる！｣と言って急に家の外に飛び出す。
・深夜に窓から家を出て、自宅周辺をうろうろとする。（危険なので家族で監視）
●認知障害
・熱湯の風呂に入ろうとする。
・TVのリモコンを携帯電話と間違う。間違っていることに全く気が付かない。
・自分の娘の顔を忘れて｢そこのおねいさん｣と呼ぶ。
・病院へ車で搬送中、走行中にもかかわらずドアを開けて降りようとする。
・ミルクを入れたコーヒーを見て、「このコーヒーは腐って色が変わっているぞ」という。
●症状
・ロレツが廻らず、何を言っているのかわからなくなる。
・一人で延々としゃべりだし、話が飛びまくる。
・手足が震える
・etc
わずか１ヶ月前までは、体調こそ悪そうでしたがしっかりとしていた義父が、あれよあれよと言う間にこのようになってしまいました。
癌が脳内に転移しているか、それともオキシコンチンの副作用なのか、素人には当然判断が出来ません。また、看病する義母も、あまりのことに疲れてはててしまい、もはや倒れる寸前でした。
そこで、義父には申し訳無いと思いつつも急遽入院させることにしたわけです。
そして、まずオキシコンチン剤の投与を辞めて様子をみることになりました。当然薬が切れてくれば痛みが出てきますので、違う種類の鎮痛剤に切り替えるのですが、我慢できるギリギリまで辛抱します。そして服用をやめて２日たった今日、娘（私の妻）が看病に行ったところ、ある程度の会話が出来たし、自分のことも娘だと判ったとのことでした。
とするならば、上記の異常行動は、オキシコンチン錠の副作用であった可能性が高いとの見方が出来ます。
また、脳への転移を疑いCTスキャンで見てもらいましたが、脳への転移は無いことが判りました。先生が言うには、すい臓癌から脳への転移は稀とのこと。となるとますます薬が怪しいわけです。
しかし、このオキシコンチン錠による錯乱というのもまた極めて稀なのだそうです。
結局のところ疼痛除去剤なんていうのは麻薬なのです。癌になったのは仕方が無いとしても、義父がまるで発狂したかのように死んでいくのは耐えられません。ちゃんと最後まで人間として看取ってあげたいと思いますので、異常にならない安心できる疼痛除去剤があればありがたいなぁ、と心からそう思いました。
癌なんて全く人事のように思っておりましたが、こうして身内に患者が出ますと、本当に辛く大変な病気なんだなぁということが良く判りました。家系で癌になりやすい方はぜひ気をつけましょう。酒の飲みすぎはやはり良くないようですよ。義父は酒豪でしたから。
最後まで読んでいただけた皆様、お読みいただきありがとうございました。
追記（2007/11/12）
その後、オキシコンチンの服用は中止し、現在はデュロテップパッチを使用中です。しかしその後も癌が進行し、再入院後はほとんど寝たきりになってしまいました。
腹水が大量に溜まりだし、抗癌剤の効き目も無いとの判断により、治療も中止してしまいました。現在では、疼痛さえ防ぐことが出来ればそれで良いといった感じです。本人は余命が幾ばくも無いことに気づいているのかどうか・・もし気付いているとしたならさぞ無念でしょう。
追記（2007/11/26）
義父はPM12時15分に他界しました。
重度の黄疸により全身が黄色くなっての最後でとても可哀想でした。
直接の死因は肺動脈に血栓が出来たことによる呼吸困難（窒息）だったようです。これは病院側からの希望があり、解剖し死因を特定することが出来ました。
膵臓は上部と中央部が癌に侵され、肝臓や十二指腸等にも癌が転移していたそうです。胃は潰瘍でただれ、血の混じった赤い腹水も3L位溜まっていたようです。肺動脈に血栓が出来た理由としては、抗癌剤の副作用が有ったのかもしれないとのことでした。
担当の先生をはじめ、亡くなるまで介助していただいた看護師さんの皆様には心よりお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
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Comment
古い記事ですがコメントを頂きありがとうございます。
薬に依存する今の医療は少し考え物かも知れませんね。
私が癌になり、もし治癒しないことが確実となれば、延命治療は拒否しようと思ってます。ただ、痛み止めだけはいるのかな・・
悩ましいですね。今後もっと良い薬が出来るのを期待したいです。
というのも、大腸ガン、その後再発し、余命宣告された母がおりまして、緩和ケアの病棟に入院し、亡くなる2日前に処方されたからです。
亡くなる直前の会話が、カルゴン様のお義父様と被る部分が…読んでいて辛くなりましたが、会話が噛み合わない、トイレに行きたいのにこのメールに登録したらトイレに行ける？とかわけのわからないことを言ってました。わたしはトイレに行きたがっていたので、息の上がる母を看護師さんに連れて行ってもらい、その後貧血のようになってしまい、逝ってしまいました。
今思えばこの薬のせい！とは言いませんが、少し効果もあるのかな…と思います。カルゴン様のお義父様は死因の特定が出来たようで、良かったですね。わたしの母もこの薬が原因なのか定かではありませんが0%ではないようですね。
あーもう少し早く気付いてあげられたらな…
お母さんののご冥福を心よりお祈り申し上げます。
自分の体験したことをこうやってブログ上に残しておきますと、わずかでも共感を頂ける人がいるということがとても嬉しく思っています。
コメントありがとうございました。
２７日には、誰かと話しているように「すごいね。すごいよ。」と笑いながら言っていたり、「合法殺人だって。殺人だよ。」と怖いことを口にしたり。それに対して、「誰が殺人したの」と聞いても、返事はもらえず。
ろれつもはっきりしなくなりました。
そして翌日、体調が急変し、亡くなりました。
２７日には主治医と話して、オキシコンチンの投与が原因の錯乱かもしれないから、一時的に止めることになり、夜には服用しなかったようです。
けれど、カルゴンさんの義父さまのお医者さんが
おっしゃったように、脳にがんが転移しているかもしれないから、CTを撮ることになったその日の早朝に他界しました。今は、何が良くなかったのか、もんもんとしています。それまで、体調はすぐれなくても意識ははっきりしていた母だけに。
記事として残しておきますと、同じような症状が出て困っているにとっては参考になりますよね。ブログをやっていて良かったと思います。（最近はさぼっていますけどね）
1っか月で同じ状況になり
医者は 癌でもともとその要素を持っていたのでは
と言われ 相手にされませんでしたが
その時にこの日記を拝見して確信を持ち
他のお医者さんに聞いたところ
それはあなたの親にとって薬がきつ過ぎるのでは
痛み止めは麻薬だからさじ加減が 難しいんだよね
薬をやめれば 正常になりますよっと言われ
親の担当医に 心療内科にも回されましたが
お願いして薬をやめたら 正常になりました
今頃ですが ありがとうございました
乳がんを患っていらっしゃるのですね。であればこの記事は気になることでしょう。
決して脅かすつもりではなく事実を書いたまでなのです。
オキシコンチンでの幻覚症状はまれだと先生もおっしゃっておりましたし、たまたま義父に合わなかっただけなのかも知れません。
義父の場合は末期のすい臓がんでしたのでさーやさんのケースは異なるでしょう。乳がんの場合は治るケースも多いと聞きますしね。
痛みを抑えるためには非常に効果的な薬のようですが、お医者様に相談の上、適切に使用するのが良いのではないでしょうか。
小さいお子様のためだけではなく、ご自分のためにも病気と闘って勝ちましょう！
言葉でしか言えない自分がもどかしい限りです。
遠くから応援させていただきますよ！（＾＾）/
昨日から、オキシコンチンを使っています。私は2012年7月〜乳ガン治療中です。年初さんを一番下に、小２小５の母親をしています。
先週七回目の抗がん剤治療をする前に、お尻の辺りがかなり痛み、主治医に伝えたところ、骨 転移の可能性を考え、検査になりました。
普通につかう、解熱鎮痛剤ロキソニンを飲みましたが、咳やくしゃみをすると、痛い痛い。
そこで、オキシコンチンが処方され、モルヒネと聞いたので、インターネットで、みてみたところ、ガラパコスさんのアップが目に入り、コメントさせていただいております。
私には、まだまだ、残していけない子供たちがおりますから、がんばりますが、幻覚幻聴などは、困ります。
しかし、やはり服用すると、副作用で麻薬ですね。
痛みなくなり、咳もできます。
大変、参考になりました。
ありがとうございました。
そうでしたか。心よりお見舞い申し上げます。
副作用が無ければ良いのですが、なかなか難しいようですね。今、お母様が倒れてしまっては困りますので、出来るかぎりフォローしてあげましょう。
入院はされているのですか？もし自宅療養であれば、先生に相談して入院させていただくのも良い手かと思います。
気を落とさずに頑張ってくださいね。
まさに実父が同様の症状になっています。
昼はウトウト、夜は導眠剤を飲んでも寝付けないようです。
薬が切れると副作用と思われる症状が。
デュロテップパッチの使用をお願いしましたが、これは難しいとの事でオキシコンチンの量で調整することにしたようです。
痛みとの戦いも大変でしょうけど、介護する高齢な母も大変そうで・・・
どうしたら良いのか、私に何ができるのか悩む毎日です。
同じような症状が出ているようですね。心中お察し致します。
薬を変えてもらうのもひとつの手と思います。
父が肝臓癌です。
肝臓癌で激しい痛みというのは基本的には無いらしいのですが、
医師にもわからない激痛が続くということでオキシコンチンを処方されています。
少量から始めましたが、あまりの激痛が続き日常生活がままならないため、徐々に量を増やして現在は1日80mgを服用しています。
多量の服用のため薬が効いているあいだは幻覚（晴れている窓の外を眺めて雨が降っていると言ったり･･･）や、私が言っていないことを言った、さっき着替えたのにまた着替える、などの錯乱が見られます。
薬が切れてくるころには普通に会話ができます。
本人の痛みが軽くなっているようなのでそれはいいのですが、家族との会話が噛み合わないことが辛いです。
副作用が出にくい薬とされていますので、たまたま私の義父の体質と合わなかっただけかも知れません。
でも強い薬であることには変わりありませんから・・・
最後まで人間らしく過したいのでしたら、やはり疼痛除去剤は出来るだけ我慢したほうが良いと私は思います。
でもあくまでも御本人の病状や意思を尊重しましょうね。
カルゴンさんのページを見るまでこんな副作用がでるなんて知りませんでした。とても参考になりました。 知らずに処方されて苦しんでおられる方もたくさんいらしゃるとおもいます。
副作用についてもっと情報開示されるよう願っております。
おっしゃるとおり、本人が希望するまでは使わないことにします。 食べられることが優先だとつくづく思います。 ありがとうございました！
お気持ちは良く判ります。
御本人の意思を最優先したほうが良いでしょうね。
疼痛に耐えられるギリギリまでオキシコンチンは辛抱するのが良いとは思いますが、痛みに苦しむ姿を見るのもとても辛いことです。
大変だとは思いますがお父さんの介抱、頑張ってください。
肝臓、背骨、脳に転移してます。
抗がん剤１クールしてから２週間後にオキシコンチンを飲み始めたら
食欲が全く無くなり氷しか口にしなくなり
めまいがすると言って
好きだったテレビも新聞もみないで顔をしかめて過ごしていました
３日前から飲むのを止めたら食欲がでてテレビも少し観るようになりました
デュロテップパッチをもらったのですが副作用が怖いといって貼ろうとしません
痛みを我慢しながらの生活でかわいそうです
コメントありがとうございます。オキシコンチン自体は大変に優れた薬だと思います。ただ、義父の場合には合わなかったということでしょう。
本当は痛み止めよりも、癌そのものが回復する治療方法が見つかるのが一番ですので、
将来に期待しましょう。
お父さんの介抱、頑張ってください。
本当の意味では副作用かどうかは判りません。すべての人が義父と同じ状態になるわけではないでしょうから・・
お父さんの介抱、頑張ってくださいね。
私もオキシコンチンの検索でこちらにたどり着きました。
実家の父が再発咽頭がんステージ�犬納Ｎ鼎鮖呂瓩燭箸海蹐任后�
外科手術もまだ可能な段階なんですが、それをすると声を失うので、抗がん剤と放射線照射で治療を行っています。
ワンクールを終えて外泊許可が下りたので自宅に戻ってきましたが、「オキシコンチン」の効能をネットで調べてほしいと言われ、副作用がこのように出る場合があると知って驚きました。
飲み始めたばかりなので、実際に副作用が出るかどうかわかりませんが、今後の参考になりました。
ありがとうございました。
コメントありがとうございます。やはり同様の症状ですね。強い薬ですから、副作用も仕方がないのかもしれません。
辛いとは思いますが、大事にしてあげてください。一番辛いのはやはりご本人だと思いますので・・
こちらにたどり着き 現在の母と同じように
膵臓がで一ヶ月（余命3ヶ月）入院してから急に眠るようになり その後から
行動がおかしく
日付 時計 計算 話が合わなくなりました
行動が変死んだお祖母ちゃんが話しに来たとか
まだらボケみたいなんです
CTは異常ありませんでした
とても参考になりました
ごめんなさい。医者じゃないので判りかねます。担当医に聞いたほうが宜しいでしょう。
期待に応えられず、申し訳ありません。
みかさんのお父さんも膵臓癌ですか。
初期診断で余命４ヶ月のところは大きく越えているようですから、治療には一定の効果はあったようですね。
まぁ、素人判断ですが、疼痛除去剤はやはり麻薬だったということですね。
寝たきり状態であれば、本人の苦しみの除去を第一に考えるべきでしょう。
うちの場合はまだ歩ける状態だったのに、オキシコンチンを投与したことが失敗だったのかもしれませんね。
奇跡のように年を越せましたが、20年1月８日より、それまではっきりしていた意識が、朦朧としわけがわからないことを延々と喋り続けるようになりました。年明けから往診に来ていただいている在宅医療の内科の先生の処方が外科医師とはまったく違い、全身状態を悪くさせない、副作用が少ない処方をしてくれます。もっと早くこの先生に出会えていれば…と感じました。ジェムザールの投与とともにステロイド薬を同時に投与すれば白血球が減るのを防げることも今になって知りました。オキシコンチンの服用中止も相談してみようと思います。とても参考になりました。ありがとうございます。
コメントありがとうございました。
義父の件でわかったことは、１．疼痛除去剤（オキシコンチン）は多かれ少なかれ副作用はある。２．抗がん剤（ジェムザール）は効果が出ない場合があり、この時は逆に死期を早めてしまうようだ。ということです。
ただ、憎いのはあくまでも病気であって、先生も製薬メーカーも一生懸命に頑張ってくれていると思いますから、原則としては先生の治療方針に従ったほうがいいとは思っています。
今回は薬のチェンジまでは聞き入れていただけました。
また、余談ですが、余命の診断は極めて正確でした。評判の良い先生に診てもらえて本当に良かったと思っております。
しかし…いろいろ考えさせられますね〜。
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