今日は休養日。部屋でゆっくりと寝ていたのだが、どうにも寝ていられなくてベッドから起きあがってしまった。せっかくだから日々色々なことを考えていることを書きなぐっていこうと思う。

さて、IT技術の急速な発展により一気にグローバル化が進んだ結果、今までの日本の成長モデルが崩壊しつつあるのは間違いないだろう。たとえば、デジタルカメラの台頭により銀塩フィルムや現像、プリントサービス業はほぼ壊滅してしまったし、音楽のネット配信やオンライン販売による街のCDショップも同様に激減中だ。
出版業界に関しても電子書籍がこの先どこまで普及してくるのかまだ結論が出てはいないとは言え、本格的にスタートする段階を迎えて町の書店も戦々恐々としていることだろう。

個人的な意見を言えば、IT機器を利用できる層と出来ない層で2極化するとは思うのだが、この先10年、20年後を想像するならば、 紙ベースのものは高級な装丁の書籍か逆に読み捨て出来るものだけとなるのではないだろうか。雑誌、漫画、ライトノベル、ビジネス書の類はすべて電子書籍化されることになり、そしてリーダー端末はより薄く、より軽く、より安価で電池も数日間持つような ハードが登場して、一気に円熟期を迎えることになるのだと思う。また、新聞も今の形態とは大きく変化して電子新聞のほうが一般化することだろう。おそらく、テクスト+写真だけではなく、動画や音声などと一体となり、動画広告もついた複合型コンテンツになってくるはずだ。
そのような時代を希望するしないに関係なく嫌でも迎えることになる我々としては、それらにうまく適応して生きていくしかないのである。

一方で企業側からの見方として、このパラダイムシフトをうまく捉えることが出来る企業と出来ない企業では、あらゆる業界で勝者と敗者の差が大きく広がることになるのは間違いないだろう。
先に書いたフィルム業界では、あのフジフィルムは化粧品や健康食品事業等へと大きく舵を取り、現状では成功しているようだが、その一方で世界最初のフィルムメーカーであった米コダック社は次の事業展開が遅れた結果、柱を見つけることが出来ずほとんど影の薄い企業に成り下がってしまった。また、インスタントカメラのポラロイド社に至っては日本からはブランドそのものが消滅してしまった。
国内のもう1社コニカは、ご存知の通りカメラメーカーだったミノルタと合併し、コピー機などのビジネスマシンの企業に変貌している。しかもミノルタのカメラ事業はSONYへ売却するという荒療治で現在に至るわけで、もはや生き残っているのは社名のみ、と言っても過言では無い状況だ。
つまり、常に先を読んで適切に対処したところは生き残ることが出来、何もしなかった、あるいは思い切って舵を切れなかったところは確実に衰退しているというわけだ。

音楽配信でも、ウオークマンという世界的なヒット商品と音楽のデストリビューター企業を傘下に持ちながら、その既得権を守ろうとして電子配信を固辞した結果、AppleのiPodにシェアを奪われたケースもある。いくら過去の成功事例や既得権を守ろうとしても、グローバル化が進んだ今ではもう通用しないのだ。

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ただ、このような時代で生き残るためには適切な対処が必要だと言ったところで、何か具体的なものがあるわけではないのだが、一つ言えるとするなら「いかにしてニーズを先読み出来るか」だと思う。

ニーズには2種類あり、一つは「顕在ニーズ」、そしてもう一つが「潜在ニーズ」だ。
顕在ニーズというのは、目の前のお客様が今欲しいと言うもののことだ。たしかにすぐ欲しいというものは、すぐにビジネス化が出来るという点で営業的には成功しやすい。しかし、一旦それが不要な商品となってしまう何かが起きるとすぐに在庫の山となる。つまり現時点でそういうビジネスしか出来ていない企業には、すでに大きな弱点が存在すると言うことになるのだ。
一方の潜在ニーズとは、まだ発掘されていないニーズのことで、一般の顧客には分かりにくかったり、そんなものは要らない等当初はこんな商品やサービスなんかは絶対に売れないと言われるのがほとんどだ。そのような物を商品化するというのはとても勇気の要ることであるのは間違いだろう。上場企業であれば、無知な株主を説得しなくてはならないし、失敗すれば責任問題にもなる。

考えてみると、いまや誰もが使っていると言っても良い携帯電話も、最初はお金持ち専用だったし、恐ろしく料金も高かった。その後料金がすこしづつ下がり、誰もが携帯を持つようになった結果、潜在ニーズだったものが顕在ニーズに変わり、更に利用するサービス内容が変わってきた結果、今ではApple社のiPhoneの一人勝ちという皮肉な結果になってしまった。
キャリア側の要求に粛々と従い、安全パイを狙ってきたはずの国内の携帯電話機のメーカーの多くは安全どころか採算が取れずに撤退や縮小、合併などに追い込まれてしまう結果なのである。
国内メーカーの携帯がガラパゴス化と言われる結果になったのは、このようにニーズの読み違えが直接の原因ではあるが、過去の成功事例を壊したくなかったことと、強引に新しいビジネススキーム作りに乗り出す勇気が無かったという事が根本的な理由であり、そこがスティーブ・ジョブスとの大きな違いなのである。

このような携帯電話のような大きな市場であっても一歩先のニーズの読みや判断を誤ると、大きな損失が生じるのだ。それだけに先を読む力、そして決断力がいかに重要であるかがよく分かる事例と言える。