交通事故のニュースは毎日のように見聞きするが、近年目だってきたのが、「アクセルとブレーキの踏み間違い」による事故だ。

ただ、これでは正しい表現とは言えない。アクセルとブレーキを間違うことはほとんどの場合は無いだろう。仮にペダルを間違っただけであれば止まることは容易なのだ。正しくは、「止まりたいのに止まれない運転操作上のミス」であって、踏み間違いという一言だけではすべてを説明したことにはならない。

これは決して有り得ない話ではなく、車を運転するものであれば、誰もが同様になる危険があると思っていたほうが良い。
なぜなら、実は私も5,6年前に一度だけ、ブレーキを力一杯踏んでいるにも関わらずエンジンが唸って車が前進を止めようとしない現象に遭遇したことがあるのだ。

そのときは「おかしいぞ」と瞬時にその原因が判り事なきを得たのだが、本当に驚いたのを今でも昨日のように覚えている。

私の時の理由はこうだ。

つま先でブレーキを踏むと同時に、かかとでアクセルも踏んでいた」のである。これは決して足の大きさが原因ではなく、靴のかかとを軸にして床から離さずに行なうようなペダルワークをしている場合に、そのかかとの軸が振動などでずれてしまった際に起こりえるのである。

こうなった場合、なんとか止まろうとブレーキを踏めば踏むほど、かかとでもアクセルペダルも踏み込んでしまう為、容易にこの状態を解除することが難しくなってしまう。

恐らく多発しているこの手の事故の多くは、単なる踏み間違いではなくこれが原因なのではないだろうか。

高齢のドライバーやあまり車に乗らない方の場合は、止まらない理由が瞬時に判らないことに加えて、この状態から抜け出すための「つま先に力を入れながら、かかとを浮かす操作」などは通常は有り得ないため、咄嗟に体が反応ができないのであろう。

この一件以降は、二度と同様の事が起こらないように実は絶対に踏み間違うことのない運転方法に切り替えている。

その方法とは、「ブレーキ操作を左足で行なう」ことだ。

現時点では自動車メーカーではこのような操作は禁止しているが、慣れてしまえば実にスムーズに運転が出来るのだ。まあ、常時左足というわけではなく、通常の右足ブレーキも使っているのではあるが。

そもそも2ペダルカーの場合は、左足を遊ばせておくのは勿体無いのである。右足でブレーキを踏む操作は、マニュアル車しか世の中に存在しないころの名残以外の何物でもない。

現時点では全ての人にお勧めするわけではないが、ちょっと練習すれば簡単に出来るようになるはずだ。少なくても自分は左足ブレーキに切り替えてから5,6年経つ。

急ブレーキ時には両足でブレーキを踏むことも出来るので、制動力は確実に向上するはずだ。 AT車のブレーキペダルがMT車に比べて大きめに出来ているのは、左足ブレーキを考慮しているのではないだろうか。単なるスペースが有ったから、というのではあまりに芸が無さ過ぎる。

賛否両論ある操作方法だが、なれてしまえば全くもって自然に対応できるので、上記のような事故を防ぐには極めて有効な方法だと自分は思っている。

ただ、根本的な解決には、今のペダルシステムそのものを抜本的に改良したほうが良いだろう。アクセルもブレーキもどちらも足で踏み込むという共通動作がそもそもの問題なのだ。そろそろ自動車の運転方法も、人間工学の進歩に併せて次世代型へ脱却するべき時期が来ているのかもしれない。

<参考>

ナルセペダル
http://www.naruse-m.co.jp/home2f/pedal01.html